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【タイ企業法務最前線】(5)法令改正動向

第5回 近時の法令改正の動向 最低賃金および税務
サイアム・シティー法律事務所

 1. 最低賃金の改定
 インラック政権の政策である最低賃金日額300バーツは、中央賃金委員会及び内閣の承認を経て、2011年11月2日に公布されました。
 当初の予定では、2012年4月1日にタイ全国で一律に日額300バーツの最低賃金が導入される予定でした。しかし、2011年10月にタイを襲った洪水被害により、全国的な導入は2013年1月まで先送りすることとされ、バンコクを含む7都県についてのみ日額300バーツの最低賃金が導入されました。その他の地域については、概ね40パーセントの増額が行われたものの、日額300バーツを下回る最低賃金額とされました。
 中央賃金委員会は2012年9月に、2013年1月から全国一律で日額300バーツの最低賃金を導入すると決定しました。導入の延期を求める声が経済界から上がっていましたが、報道によると2012年11月20日の閣議において、2013年1月1日からの導入が承認されました。今後の官報による公布をもって施行されることになります。また、政府の従前の計画どおりであれば、2015年までの2年間は最低賃金日額300バーツが維持される予定ですが、今後の動向を注視する必要があります。

 2. 法人税(Corporate Income Tax)の引き下げ
 タイにおける法人税率は30%(タイ証券取引所の上場企業(税率25%)等の例外あり)から、以下のとおり3年間引き下げられています(勅令第530号)。2015年以降の事業年度については、別途の法改正等がない限り、税率は30%に戻ることとなります。
 ・2012年1月1日から始まる事業年度については、23%
 ・2013年1月1日から始まる2事業年度については、20%
 なお、上記の勅令第530号の下では、年度の途中で決算日を変更した場合、他の企業に比べて軽減税率の恩恵を受けられる期間が短くなる弊害が指摘されていました。そこで、各納税者が平等に軽減税率の恩恵を受けられるよう、勅令第530号に対する所要の改正が2012年9月18日に閣議で承認されました。今後の官報による公布をもって施行されることになります。
 中小企業(SME)については、純利益のうち15万バーツまでの部分は法人税が免除され、15万バーツから100万バーツまでの部分は15%の法人税が課されます。純利益のうち100万バーツを超える部分については、2012年1月1日以降は23%、2013年1月1日以降は20%の税率が適用されます。大企業と異なり、SMEに対する税率軽減は恒久的なものであり、2015年以降の事業年度においても20%の税率が維持されます。
 SMEとしての軽減税率の適用を受けるためには、(1) 当該会社の払込資本金が事業年度の末日において5百万バーツを超えず、かつ(2) 当該年度における商品の販売又はサービスの提供による収入が3千万バーツを超えないことが必要となります。

 3. 付加価値税(VAT)の税率7パーセントの維持
 VATの税率は、勅令により、2010年10月1日から2012年9月30日までの間、歳入法典(Revenue Code)に規定される10パーセントから7パーセントに引き下げられていました。かかるVAT税率の7パーセントへの引き下げは、2014年9月30日まで2年間延長されました(勅令第549号)。

 ※本記事は一般的な情報提供のみを目的とするものであり、法的アドバイス又は法的サービスの提供を意図したものではありません。

 執筆者 サイアム・シティー法律事務所 
 稗田直己(コンサルタント、日本国およびニューヨーク州弁護士)
 ウェブサイト: http://www.siamcitylaw.com
 E-mail: hieda@siamcitylaw.com

(2012年11月28日 14:14)

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