
インラック前首相は25日、コメ担保融資制度をめぐり職務怠慢などの罪に問われた裁判の判決公判に出廷せず、逃亡の恐れがあるとみて最高裁判所が逮捕状を発行した。すでに出国し、軍政は容認したとみられている。
前首相は巨額の損失が発生することを知りながら、同制度を推進していたとして起訴され、実刑判決が出れば収監され、最長10年の禁錮刑が科される可能性があった。
27日付各紙によると、前首相は23日に東部トラート県からカンボジアに渡り、シンガポール経由でアラブ首長国連邦(UAE)・ドバイに向かったもよう。ドバイは前首相の実兄で海外逃亡中のタクシン元首相が拠点としている。前首相は英国で亡命を申請するとの情報もある。
軍政の厳しい監視下に置かれていた前首相が、軍政の容認なく出国することはほぼ不可能。前首相に対する有罪判決にタクシン派が反発し、政情不安が再燃する事態を避けるため、軍政が出国を容認したとの見方が広がっている。タクシン派の影響力排除を目指す軍政にとっては、人気が高い前首相の逃亡は好都合なことから、出国を促し、実質的に国外追放したとの見方も出ている。
タクシン氏も2006年のクーデターで政権の座を追われた後、08年に国有地取得をめぐる汚職事件で有罪判決が下される見通しが強まる中、海外に逃亡しており、実妹の前首相も似たような展開となった。
前首相の出国により、軍が政治的影響力を維持したまま、政情安定が続く見通しが強まったとの見方が目立っている。一方、タクシン派と反タクシン派の対立が決定的となり、政情不安につながる火種が増えたとの観測もある。
(2017年8月28日 6:23)